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よくわかる!技術解説 バイオテクノロジー・医療技術分野

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バイオテクノロジーとは メニューをスキップ

1 バイオテクノロジーの進展

バイオテクノロジーを直訳すると“生物技術”になり、生物の持つ様々なはたらきを利用することで人々の生活をささえる技術ということになります。この意味では、バイオテクノロジーは、人類にとって古くて新しい技術です。たとえば世界中どの地域でも独自の製法を持って造られている“お酒”は、麹菌によるアルコール発酵の働きを利用した最古のバイオテクノロジーのひとつです。パンやチーズ、味噌、醤油も同じで、微生物のはたらきを利用したバイオテクノロジーの産物です。
 
しかし、最近では、バイオテクノロジーは、20世紀後半に進展した分子生物学に基づいて開発・実用化された技術を主に指すようになりました。分子生物学は、ワトソンとクリックによるDNAの二重らせん構造の発見によってはじまりました。そして、生命現象をもたらしているすべての情報が遺伝子に書き込まれ、その情報がDNA→RNA→タンパク質へと伝達されることによって、さまざまな生物の機能が発現されるという「セントラルドグマ」が提唱されたのです。

分子生物学のセントラルドグマ

バイオテクノロジーが産業技術として注目されるようになったのは、遺伝子組み換えの基本技術が1973年に発表されたことにはじまります。今後、生物全般の遺伝子を解明する、いわゆる、ゲノム解読から遺伝子機能解析などのバイオテクノロジーによって、医療・医薬や食品の研究がさらに進み、その他にもエネルギーや環境保全など、現代文明の大きな問題が解決されることが期待されています。

ゲノムの解読によって大きく前進が期待される分野。医療では、テーラーメイド医療、予防医療、新たな医薬品開発など。

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2 遺伝子とは

約35億年前に生命が誕生してから、長い進化の過程を経て生物は複雑化・多様化し、現在の地球上には少なくとも500万種、多くみれば3000万種もの生物が生きていると言われています。全ての生物は、各々の種に特有の色々な特徴(遺伝形質)を親から子に伝えることで、その種を維持しています。さまざまな遺伝形質が独立の因子で決められることが、19世紀後半にメンデルによるエンドウマメの実験で明らかにされました。子孫へと受け継がれる遺伝形質の元となる情報は遺伝情報と呼ばれ、ある生物が持つ遺伝情報の全体を指して「ゲノム」と呼ばれます。「ゲノム」には、生物を構成し維持するのに不可欠な情報が全て含まれているため、「ゲノム」を解明することはその生物を解明することになるのです。多くの生物においてその遺伝情報を記録して運ぶ役割を担うのが遺伝子であり、DNAという分子の中に埋め込まれて生物の体内に存在しています。つまり「ゲノム解析」とは、多くの場合DNA配列の解析といえます。

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3 DNAとは

遺伝子を運ぶDNA(デオキシリボ核酸)は、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)という4種類の分子(塩基)が並んだ鎖が、図のように、A-T、C-Gという塩基の組み合わせにより、二本絡まったような構造(二重らせん構造)をしています。ヒトのDNA二重らせん構造では、A-T、C-Gという塩基の組み合わせが延々と30億個も続いています。このような、DNA分子の中に「遺伝子」と呼ばれる領域があるのです。いわばDNAは、遺伝子の運び屋なのです。

DNAは電子顕微鏡でないと見ることはできませんが、二重らせん構造のDNAが更に巻き取られて束になった染色体とよばれる物は、試薬などで染めることにより光学顕微鏡でみることができます。たとえば、ヒトの細胞中の核には23対(46本)の異なる染色体があります。

DNA二重らせん構造(イラスト)

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4 RNAとは

RNA(リボ核酸)はを鋳型にしてDNAの情報を写し取るように合成される分子で、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、ウラシル(U)の4つの塩基で構成されます。そのようなRNAの合成方法から、DNAからRNAが合成されることを「転写」と言います。一口にRNAといっても、生命を構成・維持するのに必要なタンパク質の合成に関わる、伝令RNA(mRNA)、運搬RNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)などいくつかの種類があります。最近では、それ以外にもタンパク質合成にかかわらないnon-cording RNA(ノンコーディングRNA:ncRNA)と呼ばれるRNAが、実は触媒作用を持つ事があるなど、次々と新たな機能が発見されています。

RNAがこれまでの想像以上の機能を持つことが知られてきたことから、最近では生命の起源はRNAだったのではないかという、「RNAワールド仮説」も登場しています。

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5 タンパク質とは

DNAの情報を写し取ったRNAから「タンパク質」が合成されます。タンパク質は、アミノ酸が数十〜数千個、線状に繋がったものです。RNAの配列に対応して、どんなアミノ酸が繋がるのかは決まっているので、遺伝子Aの情報からはタンパク質Aが合成されタンパク質Bが合成されることはありません。タンパク質を構成するアミノ酸は、実は20種類しかありません。これらの組み合わせにより、一つの生物でも数千から10万種類にも及ぶタンパク質を作り出します。

タンパク質は、生物を構成し維持する物質であり、生体内になくてはならない物です。したがって、タンパク質の元となるDNAの塩基配列を調べる(ゲノム解読)ことは、生物の設計図を解読することと言えます。

タンパク質のできるまで

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6 解明されるタンパク質の機能

2003年にヒトゲノム計画により私たちのDNAの塩基配列がすべて解明されてから、タンパク質の機能に関する研究も進んできました。ヒトの場合、体内で合成されるタンパク質は、数万種類あるといわれています。実はタンパク質は同じ種類、同じ量のアミノ酸でつくられていても、様々な条件によって立体構造が変化します。立体構造が異なれば性質も変わってしまいます。

アミノ酸の基本構造

アミノ酸の配列のことを「一次構造」といいますが、アミノ酸の鎖がらせん状の「α-へリックス」や、いかだのように並列にならんだシート状の「β-シート」などとよばれる「二次構造」と呼ばれる構造をとり、さらにそれらが折りたたまれて立体構造を形成することによって、初めてタンパク質は機能を発揮します。立体構造を調べる研究があってこそ、タンパク質の機能が解明され、その結果が次世代のバイオテクノロジーを生み出す原動力になることでしょう。

タンパク質の高次構造

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