取り組みの背景は?
「軽い・薄い・大画面・省電力」が追求されるディスプレイ。液晶、プラズマにつづく次世代の軽量・薄型大画面のディスプレイとして、より省電力化できる有機ELディスプレイが期待されています。一方「軽い・薄い」は、どこでも使える携帯性をさらに追求するために欠かせない技術です。紙のように薄くて柔らかい携帯入出力装置を実現するディスプレイができると、応用分野が一気に広がります。紙の本にとってかわる電子ブックも、何百ページもある「本」が1枚の「紙」の上で読めるようになるでしょう。携帯電話も薄いカードのようなものになるかも知れません。また「身につけるディスプレイ」が夢ではなく、実用化されるでしょう。

どんな研究?
「紙のように薄くて曲げられるディスプレイ(フレキシブルディスプレイ)」の実用化には、いくつかのポイントとなる要素技術の研究が必要です。
例えば、ディスプレイの基板そのものの開発も必要です。基板にはプラスチック素材が使われますが、素材と発光膜との相性や、曲げられることに耐える構造も研究しています。またそれぞれ、低コストでの製造工程開発も重要となっています。

フレキシブルディスプレイの研究内容
超薄膜の曲げられて、かつ動画表示が可能な有機ELディスプレイ、また、B6サイズ程度の大きさで印刷によって製造できるディスプレイの実現を目指し研究を行いました。動画表示に必要な毎秒60フレームに対応する256色階調を表現できる発光素子と、それをコントロールする装置開発を目標としています。
2007年 3月の時点で以下の成果が得られています。例えば、有機アクティブ発光素子を用いたマトリクスパネルをプラスチック上で実現しました。また高移動度有機半導体材料の溶液法による高品質薄膜形成技術の開発により、印刷による高性能なトランジスタ回路の作製を実現しました。

印刷製法(インクジェット法)により 約21型WXGAディスプレイを実現
凹凸散乱層を開発し光取出し効率を約40%アップ
大画面のディスプレイを作製するために、基板サイズの制約が少なく、有機材料の利用率の高いインクジェット法を用いて、大型基板に高精度で均一にRGB3色(赤緑青)の有機EL素子を塗布する技術を開発しました。
また、有機EL素子の発光は一般にその70-80%がガラス基板の内部に閉じ込められてしまいますが、閉じ込められている光を外部に取り出す「凹凸散乱層」を開発し、光取出し効率を約40%向上させました。
これらの技術を用いて、高分子有機材料による21型の有機ELディスプレイの試作に成功しました。

高性能有機EL素子を実現
本プロジェクトでは、消費電力をより小さくするために、高い発光効率を得ることができる各種の新規有機材料を研究開発し、世界最高レベルの高効率有機EL素子を実現しました。
また、発光層を重ねることで発生フォトンを増やすことが可能となるマルチフォトン技術を開発し、内部量子効率が100%を越える高効率マルチフォトン素子を実現しました。少ない電流でも極めて高輝度が得られ、かつ長い寿命を併せ持つ優れたディスプレイ用素子として活用できます。

今後の展開は?
小型有機ELテレビは商品化されましたが、有機EL素子の発光寿命や大型化にまだまだ課題があります。
今後ますます開発が加速され、将来的には、ウェアラブルディスプレイや超薄型壁掛けTV、壁一面の有機EL照明などに発展していくでしょう。
このテーマの技術解説:- 有機ELってなあに?
このテーマの事業紹介:- プロジェクトコード P02029