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よくわかる!技術解説 環境技術分野

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夏が涼しい“打ち水”光触媒住宅 目次をスキップ

1 取り組みの背景は?

打ち水(イラスト)

みなさんは、夏の暑いときに玄関先など“打ち水”をしたら、周りが涼しくなったという経験がありませんか。その考えを利用して考案されたのが、光触媒技術を応用した“打ち水”光触媒住宅なのです。最近は、新聞紙上でも「地球温暖化」の文字がひんぱんに出てきます。石油や石炭などの燃料を多く使い二酸化炭素などのガスが増えたため、地球が暖かくなっているのです。また、アスファルトやコンクリートでおおわれた都会では、夏場のヒートアイランド(都市温暖化)現象も深刻化してきています。夏場の冷房による電気の使用をおさえ、クーラーなどからの暑い排気をおさえることは、地球温暖化とヒートアイランド現象の双方に効果があります。

“打ち水”光触媒住宅は環境にやさしいクーラーです。光触媒には、有害な化学物質を分解して除去するという機能と、表面に落とした水滴が一面に薄く広がるという超親水性の2つの機能をもっていますが、これは超親水性を利用したものです。光触媒がコーティングされた住宅の外壁に“打ち水”をすると、その水滴は薄く広がり膜状となって建物を覆います。そして、水が蒸発する時に熱をうばい建物を効率よく丸ごと冷却することができるのです。また、周りの大気からも熱をうばうため大気温度も下げる効果があります。都会のビルや住宅などに、この方法が用いられると、建物や周りの冷却効果だけでなく光触媒が持っているセルフクリーニング機能により、雨が汚れを落としてくれて建物がいつもきれいという一石三鳥の効果が期待できます。

“打ち水”光触媒住宅(イラスト)

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2 どんな研究?

壁面に水を流して冷却する発想は古くからありましたが、建物の壁にただ水を流すだけでは、水は筋になって流れ、建物全体に広がりません。従って、冷却のためには大量の水を流す必要があり、しかも水の温度以下にまで冷却することは困難です。

ところが、光触媒の超親水性を利用して水の薄膜をつくり、その水が蒸発するときに熱(気化熱)をうばうという方法をとれば、少量の水で効果的な冷却が可能になります。しかし、この方法を実現させるためには、いろいろと問題があります。外装建材の親水性を高め、同時に耐久性も高める必要があります。また、効率的な給水ができる散水システムの開発が必要でした。それらを解決しながらこれまでの実験では、室温を2〜4℃下げることに成功しています。試算では冷房による消費電力を10〜20%削減できる見込みです。

実験1 冷房スダレ効果の実証実験

平成15年度に、建物の外側に光触媒をコーティングしたメッシュのブラインドを取りつけ、ブラインドと部屋の間の空間を冷却するという実証実験を行いました。ブラインドに散水することによって、表面温度で約7℃、室内温度で約2℃下がりました。柱や壁からの輻射熱が抑えられるので、体感温度はさらに低く感じられます。今後、マンションなどのベランダに、冷房スダレとしての応用が期待できます。

冷房スダレ効果の実証実験(写真)。
冷房スダレのしくみ(模式図)。ブラインド(スダレ)により太陽からの直射をさえぎると同時に、散水による冷却効果によって、室内の温度上昇がおさえられる。

実験2 オフィスビル実証実験

平成16年に、オフィスビルを想定した実験棟を建設し、様々な実験条件でより詳細なデータを採取しました。さらにいろいろな建材と冷房効果の詳細なシミュレーションを行っています。また、住宅では屋根、壁、窓などの組み合わせが複雑となりますが、同程度の効果があると確認されています。

オフィスビル実証実験(写真とイラスト)。サーモグラフィーを見ると、建物の下に行くほど温度が下がっている。普通、散水で冷やすと、水温が低い上の方が冷える。しかし、下に行くほど温度が低いのは、水の蒸発による冷却効果を示している。
室内の冷房効果もあるが、外気を冷却する効果も大きい。都市のヒートアイランド対策として期待できる。

実験3 愛・地球博での公開実証実験

平成17年3〜9月に開催の愛・地球博で、ドーム屋根の休憩所をつくり、休憩所利用客にその効果を体感してもらいました。夏季ピーク時では、最高30%近くの冷房空調負荷削減効果が得られました。

愛・地球博 長久手会場 休憩室
小型模型による光触媒屋根への散水実験(写真とイラスト)
一日の室内気温のピーク時で、散水なしに比べ約7℃下がることを確認。

動画を見る

実験結果のグラフ

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実験4 実物件での実証実験(横浜市水道局)

平成19年、横浜市水道局菊名ウォータープラザ内ショールームにおいて、実物件では初となる光触媒コーティングガラスからなる約130m2のカーテンウォールと散水システムを組み合わせた実証実験を実施しました。その結果、室内温度が約2℃低下し、冷房空調負荷を約20%低減可能であることを確認しました。

写真左:光触媒ガラスカーテンウォール 写真右:ガラスカーテンウォールへの散水状況
散水の有無によるガラス表面温度差
散水の有無による室温差

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3 今後の展開は?

光触媒住宅の開発は、地球温暖化対策と都市のヒートアイランド対策の2つの効果をねらっています。特に、ヒートアイランドについては、これまで屋上緑化や高反射材、保水性舗装など屋上や路面に適用できる対策技術が開発されてきましたが、壁面などの垂直面や住宅屋根などに適用できる効果的な手段がありませんでした。光触媒を利用して、垂直面などを効果的に冷却できれば、ヒートアイランド緩和に非常に大きな効果が得られるのではと考えています。

街区レベルに適用した際の効果のシミュレーションを行ったところ、放熱部材を用いた散水冷却により、散水無しの場合に比べ、その近傍の屋外生活空間における熱放射環境が改善され、特に日影の空間においてはこの効果が顕著に現れました。結果として平均放射温度(MRT)は最大で約6℃低下する効果が期待できます。

NOTES

高反射材
反射材は主に塗料で、屋上などに塗り太陽光の赤外線を反射させて蓄熱をおさえるもの。
平均放射温度(MRT)
周囲から受ける放射温度を全方位について平均化したもの。
光触媒冷却システムを街区に適用した場合の 平均放射温度シミュレーション例

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プロジェクトコード P03007