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よくわかる!技術解説 環境技術分野

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クリーンディーゼル車とは メニューをスキップ

1 ディーゼル車とは

自動車はエンジン形式から、ガソリン車とディーゼル車に大きく分類されます。ガソリン車はガソリンを燃料として使用しますが、ディーゼル車は軽油を燃料とし、ディーゼルエンジンを用いた自動車で、バスやトラックなどの大型車に多く採用されています。

ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンのようにスパークプラグによる点火方式ではなく、燃焼室内での圧縮により高温になった空気に燃料を噴射して自然着火させ、燃焼させます。このため、一般にガソリンエンジンより構造が簡単で、熱効率がよく燃費が優れていますが、ガソリンエンジンに比べると騒音や振動が大きく、また重量が重くなる傾向があります。

ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの違い(イラスト)
ガソリンエンジンはスパークプラグで点火するが、ディーゼルエンジンは空気の圧縮熱で自然着火する。

排出ガスの面から見ると、燃焼方式の違いから、一般的にガソリンエンジンは、二酸化炭素(CO2)、一酸化炭素(CO)と炭化水素(HC)を多く排出する傾向にあります。一方ディーゼルエンジンは、熱効率が良く燃費の点で優れていることもあり二酸化炭素(CO2)の排出はおさえられますが、粒子状物質(PM:パティキュレートマター)や窒素酸化物(NOx)を多く排出する傾向が認められます。

この粒子状物質(PM)は、ディーゼルエンジンから排出される粒子状の物質の総称で、一般に、炭素からなる黒煙(すす)の周囲に、燃え残った燃料や潤滑油の成分(SOF)、さらに軽油燃料中の硫黄分から生成される硫黄化合物(サルフェート)などが吸着しているものと考えられています。

粒子状物質(PM)のこれらの成分割合は、ディーゼルエンジンの運転条件、燃焼状態や燃料の性状により、大きく異なってきます。

ディーゼル排ガスの粒子状物質(イラスト)

近年、大気中の粒子状物質(PM)の健康へ及ぼす影響が注目されてきており、大気中に浮遊する粒子状物質のうち特に粒径が10µm以下のものは浮遊粒子状物質(SPM)と呼ばれ、大気中に長期間滞留して気道または肺胞に沈着し、人の健康上有害な影響を与えるおそれが指摘されてきました。

このため、平成6年排ガス規制から、粒子状物質(PM)の規制(0.7g/kwh)も加わり、また、平成10年・11年排ガス規制では、さらに その約3分の1(0.25g/kwh)の削減が義務づけられています。

一方、窒素酸化物(NOx:「ノックス」と呼ばれている)は、一酸化窒素(NO)や二酸化窒素(NO2)などの総称で、物質が高温で燃えたときに、窒素(N2)と酸素(O2)が結びついて窒素酸化物(NOx)が発生します。窒素酸化物(NOx)は、酸性雨の原因の一つであるとともに、特に二酸化窒素(NO2)は高濃度で人の呼吸器系への悪影響が指摘され、1974(昭和49)年から窒素酸化物(NOx)の規制も始まりました。現在では、ディーゼル車の窒素酸化物(NOx)排出量は規制開始前と比べて約4分の1に削減されています。

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2 ディーゼル車の排ガス対策

ディーゼル排ガス中には粒子状物質(PM)や窒素酸化物(NOx)が含まれており、その低減が課題となっています。ディーゼル車の排ガス対策としては、現在大きく二つの流れがあります。一つは、エンジン本体で粒子状物質(PM)や窒素酸化物(NOx)を低減しようとする方法、もう一方は、ディーゼルエンジンに排ガス後処理装置を取り付けるという方法です。

前者は技術的なハードルが高く、エンジン本体の工夫だけではまだ十分な浄化が得られるレベルに至っていません。この理由のひとつとして、窒素酸化物(NOx)は高温燃焼(完全燃焼状態)により生成されやすくなる物質ですが、粒子状物質(PM)は未燃焼(不完全燃焼状態)により生成されやすくなるという、相反する傾向を有していることがあげられます。そのため、粒子状物質(PM)や窒素酸化物(NOx)のいずれも低減させるためには、ディーゼルエンジンの持つ高効率面を維持したまま排ガス後処理装置を設置する、後者の方法の開発が不可欠となっています。

NOxとPM。不完全燃焼時:NOxは減るが、黒煙は増える。完全燃焼時:黒煙は減るが、NOxは増える。

1) 粒子状物質(PM)の低減

粒子状物質(PM)を低減するための、粒子をフィルタで物理的に捕集するディーゼル・パティキュレート・フィルターは有効性が高く、注目されています。粒子状物質(PM)をこのフィルターで捕集していくと、捕集量の増加とともに排ガスの排出が困難(圧力損失の増加)となり、最終的には車両の安定運転に支障をきたす結果となります。そこで、フィルターに捕集・堆積した粒子状物質(PM)を除去しフィルターを再生するための方式として、手動再生式、自動再生式、連続再生式等があります。

手動再生式DPFや自動再生式DPFは、基本的にはフィルターで粒子状物質(PM)を捕集し、フィルターを高温にすることにより粒子状物質(PM)を燃焼・焼却する方式です。このため、粒子状物質(PM)の低減効果はあるものの窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等の低減効果は期待できません。そこで、DPFと触媒等の組み合わせによる排ガスのトータル処理と、あわせてフィルターを連続的に再生する連続再生式DPFの研究開発が進められています。

連続再生式DPFの外観例(写真)。デーゼル車の粒子状物質(PM)低減に大きな効果を発揮します。

この連続再生式DPFシステムは、フィルターで粒子状物質(PM)を捕集する機能と、触媒の作用でフィルターを連続的に再生する機能を併せ持ったシステムです。この連続再生式DPFシステムの代表的な方式として、二酸化窒素(NO2)による酸化方式と酸化触媒方式があります。

前者は、前段の酸化触媒により生成させた二酸化窒素(NO2)を利用して、フィルター部の捕集粒子状物質(PM)を比較的低温で連続的に酸化除去し、フィルターを再生する方式です。一方後者は、フィルターに添加した触媒の作用で、捕集粒子状物質(PM)を比較的低温で連続的に酸化除去し、フィルターを再生する方式です。いずれの方式も、粒子状物質(PM)の除去に加え一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)の低減効果もあります。

二酸化窒素による酸化方式例(イラスト)

2) 窒素酸化物(NOx)の低減

窒素酸化物(NOx)を排気系で効果的に低減させるため、NOx触媒の研究開発が進められています。これらは、排ガス中の窒素酸化物(NOx)を還元して、無害の窒素ガス(N2)として排出しようとする方法で、a)アンモニア・尿素等を還元剤とする選択還元触媒法(SCR)や、b) NOx吸蔵還元触媒を用いる方法等が開発されています。

a) 尿素添加型NOx選択還元触媒を用いる方法

この方法は、尿素を還元剤として添加し、発生するアンモニア(NH3)により窒素酸化物(NOx)の還元を行います。現在、尿素水溶液を排気管路中の触媒上流に噴射することでアンモニア(NH3)を得る方法が提案されています。この方法は、ディーゼルエンジンの排ガスのような酸素濃度が高い雰囲気下でも、効果的に窒素酸化物(NOx)と反応することが期待されています。

尿素添加型NOx選択還元触媒を用いる方式例(イラスト)

b) NOx吸蔵還元触媒を用いる方法

NOx吸蔵還元触媒は、通常運転時は窒素酸化物(NOx)を硝酸塩の形で触媒中に吸蔵し、間欠的に還元雰囲気中で窒素酸化物(NOx)を浄化する方式の触媒です。NOx吸蔵還元触媒は、燃料軽油中の硫黄分(S)により触媒が被毒・劣化し吸蔵性能が低下するため、触媒を定期的に高温化し硫黄の除去・再生(被毒回復制御)が必要となります。

NOx吸蔵還元触媒を用いる方式例(イラスト)

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3 超低硫黄軽油による排ガス浄化効果

排ガス後処理装置で使用される粒子状物質(PM)低減用の酸化触媒や、窒素酸化物(NOx)の低減用に用いられるNOx吸蔵触媒等には、ディーゼルエンジンの燃料として用いられる軽油中の硫黄分(S)により、触媒が被毒・劣化を受け性能が低下するという課題が残されています。

軽油中に微量含まれる硫黄は、燃焼により酸化し、酸化硫黄(SOx)となり触媒を覆ってしまうため、触媒性能が低下する要因となります。また、酸化硫黄(SOx)そのものが燃料中に含まれる水分などと結合して、粒子状物質(PM)となることもあります。このため、燃料中の硫黄分(S)を低減することは、粒子状物質(PM)を低減することに直接繋がります。

このように燃料軽油の低硫黄化は、触媒等との組み合わせにより、粒子状物質(PM)、燃え残った燃料や潤滑油の成分(SOF)、硫黄化合物(サルフェート)、さらには窒素酸化物(NOx)を低減するために重要な対策となっています。

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