地球温暖化や資源枯渇の対策として、新たなエネルギー源の開発・普及が急務となっています。そのひとつとして、水素と酸素から発電し、排出するのは水のみというクリーンエネルギーである燃料電池の開発が進んでいます。
燃料電池とは
リモコンや携帯電話など、生活に欠かすことのできない電子機器の多くに、電池が使用されています。リモコンなどで使用する乾電池は一次電池、携帯電話などに組み込まれている充電して繰り返し使えるタイプは二次電池といいます。
これらの電池に加え、現在では燃料電池が登場しています。燃料電池は外部から燃料となる水素と酸素を取り入れ、電気をつくります。燃料電池の歴史は古く、19世紀半ばに英国のウィリアム・グローブ卿がその原型を考案したといわれています。

水素と酸素の結合で発電
燃料電池の発電の仕組みは、水の電気分解と逆の反応です。理科の実験でおなじみの通り、水(H2O)を電気分解すると、水素(H2)と酸素(O2)に分けられます。燃料電池はその逆で、水素と酸素を反応させて電気をつくり出し、その時の反応で発生する熱も利用できます。ただし、水素と酸素をそのまま反応させると燃焼してしまうので、電極を介します。水素は陰極で電子とイオンに分けられ、水素の分解で発生した電子が流れて発電します。残った水素イオンは電解質を通じて陽極でO2および電子と結びつき、水に変わります。そのとき発生する熱も利用できるのが、燃料電池の大きな特徴です。

燃料電池に必要なものは酸素と水素です。酸素は空気中から取り入れますが、水素は自然にはほとんど存在しないので、主に天然ガスやLPG、灯油などを改質して水素を取り出します。


燃料電池の特徴
1) 環境に優しい
発電の仕組みにより、大気汚染の原因となる有害物質(NOx、SOxなど)を発生しない。騒音や振動も少ない。
2) 高い効率
燃料電池は化学反応により直接電気を得るので、発電効率が高い。また電気以外に発生する熱も利用できるため、総合的な効率(電気+熱の利用効率=総合エネルギー効率)が高い。


3) 多種類の燃料が利用できる
化石燃料(ガソリン、天然ガスなど)をはじめ、化学工業などの副生ガス、生ごみや畜産ふん尿などの発酵ガスを利用できる。
燃料電池の種類
燃料電池は、水素と酸素(空気)から化学反応によって電気と熱を取り出します。その原理は共通ですが、電解質の種類によっていくつかに分類されます。燃料電池は、その種類によって原燃料、運転温度が異なっており、それに伴って発電規模や利用分野も異なったものとなっています。
これら燃料電池は都市ガス、LPG、灯油などから化学反応により水素・一酸化炭素(CO)などをつくります。そのうち水素を燃料にする固体高分子形燃料電池(PEFC)、りん酸形燃料電池(PAFC)、水素に加えてCOも燃料とできる溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)、固体酸化物形燃料電池(SOFC)があります。またPEFCの特殊な例としてメタノールを燃料にするダイレクトメタノール形燃料電池(DMFC)などがあります。
固体高分子形燃料電池は低温での起動性が良いために自動車や家庭用、りん酸形燃料電池はやや大型で運転温度も比較的高いことからホテルやデパートなどの商業施設や企業などで実用化されつつあります。溶融炭酸塩形燃料電池はプラントでの利用が期待されています。固体酸化物形燃料電池は発電効率が高く運転温度も高いという特徴があり、家庭用から火力発電所の代替まで幅広い分野での利用が期待されています。

広がる燃料電池の用途
燃料電池は発電効率が高いうえ、発電の際に発生する熱も使え、燃料となる水素も天然ガスや石油などの化石燃料からバイオマスまで多様な原料からつくれるという特徴を持っています。したがって、火力発電所を代替するような大規模な発電用途から、工場やビルなどの電気と熱を供給する施設にも使え、小さなところでは自動車や家庭の電源、パソコンや携帯の電源まで幅広い用途に応用ができます。










