高分子と呼ばれるもの
物質の最小単位は、原子。さらに原子は、プラスの電荷を持つ陽子と中性子でできた原子核と、そのまわりにあるマイナスの電荷をもった電子で構成されています。
原子核内の陽子の数で原子番号が決められており、同一原子番号のグループを元素といいます。元素には、水素、ヘリウムなどの名前がついています。原子の種類は、自然界にあるものが92、人工的につくられたものを含めば100を超えています。
原子と原子が結合して分子ができます。たとえば炭素原子(C)2個と水素原子(H)2個が結合してできたものがアセチレン。アセチレンはC2H2の分子式で表され、分子単位で結合しやすい性質を持っています。この分子単位をモノマーと呼びます。

化学反応を引き起こす触媒のはたらきで、アセチレン分子は連鎖的に規則的な結合を引き起こし、長い分子になります。この反応を重合と呼び、こうしてできた分子量の大きい物質を高分子(ポリマー)と呼びます。分子や触媒の違いによって、性質の異なるさまざまな高分子がつくられます。

高分子の分類
高分子の種類には、タンパク質、多糖、天然ゴムのような天然高分子とナイロン、ポリ塩化ビニルに代表される人工的につくられた合成高分子があります。ここでテーマにするのは、合成高分子です。
合成高分子は、一般に熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂に分かれます。また、熱可塑性樹脂には耐熱性の度合いから、汎用樹脂、汎用エンジニアリング樹脂、スーパーエンジニアリング樹脂に分けることができます。
| 大分類 | 中分類 | 代表例 |
|---|---|---|
| 熱可塑性樹脂 | 汎用樹脂 | ポリエチレン |
| ポリスチレン | ||
| ポリ塩化ビニル | ||
| 汎用エンジニアリング樹脂 | ポリカーボネート | |
| ポリアミド | ||
| スーパーエンジニアリング樹脂 | ポリイミド | |
| 液晶ポリマー | ||
| 熱硬化性樹脂 | フェノール樹脂 | |
| エポキシ樹脂 | ||
また、熱可塑性樹脂については、部分的に規則性のある分子構造の領域をもつ結晶性高分子と無秩序(無定形)な領域しかもたない非結晶性高分子に分かれます。
一方、液晶ポリマーは、高温で溶融状態でも規則正しい分子構造を示します。

高分子の用途
現代社会は、高分子化合物なしには考えられません。種々の分子(モノマー)を原料として、多様な合成高分子が、比較的安価に大量生産できています。
身の回りでよく見かける日用品をはじめ、家電、自動車、建材などあらゆるところで、その機能に応じた高分子が使われています。さらに、使用量が拡大している電子部品など目につかない場所にも多く使われています。

精密高分子を追求する目的
合成高分子は、その構造をナノレベルで制御することが従来極めて困難でした。そのため、合成高分子が本来有している機能、性能の数%程度しか発揮されていません。
生活に役立つ合成高分子を、さらに高機能、高性能なものにするため、ナノメートルレベルで高分子の構造を制御する技術の研究が進められています。この高度に構造が制御された高分子を精密高分子と呼びます。以下に代表的な構造制御技術を列挙します。

1) 一次構造制御技術
分子同士の結合によって決定される高分子の分子量や分子の配列などを一次構造と呼びます。この一次構造を制御する技術の一例としてリビング重合方法があります。
この方法は、分子同士が結合し高分子が製造される過程で、結合していく末端が「重合活性」(生きている、リビング)状態にある重合方法で、分子量や分子の配列などが揃った高分子ができます。

2) 三次元構造制御技術
高分子が集合体となってつくる構造を三次元構造と呼びます。
一次構造等の制御を基とし例えば磁場をかけて、無秩序な集合体をナノレベルで規則的に並べる技術等が生まれてきています。このような三次元構造制御により、飛躍的に耐熱性にすぐれた材料や、力学的・光学的にすぐれた材料の開発が期待できます。

3) 表面・界面構造制御技術
高分子の表面や界面は、材料内部とは異なる性質を持っています。この部分をナノレベルで制御することで、表面特性の飛躍的な向上が期待できます。

4) 高強度繊維技術
ポリエステルやナイロンなどは、実は理論的な強度の4〜5%程度の強度しか発揮できていません。材料が溶けた(溶融)状態でその構造をナノレベルで制御する技術を研究しています。これにより飛躍的な強度向上が期待できます。

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