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よくわかる!技術解説 ナノテクノロジー・材料技術分野

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高温で焼かずにつくった画期的ナノレベル電子セラミックス 目次をスキップ

1 取り組みの背景は?

IT機器等で用いられる、高機能なセラミックス電子部品(絶縁体、圧電体、誘電体、磁性体など)は、わが国が世界市場の約70%を占め、世界を大きくリードしています。そして、この優位性を維持していく必要があります。通常、セラミックスを作るには1000度以上の高温で焼く焼結プロセスが必要です。そのため、どうしても結晶が粗く、寸法精度が悪いなどの問題がありました。また、溶ける温度が低い金属やガラス、プラスチックなどと複合した材料を作るにもいろいろ制約がありました。それらの問題を解決する方法として、セラミックス粒子の常温衝撃固化現象が発見され、これを用いたエアロゾルデポジション法(AD法)が数年前に開発されました。これは、日本独自で開発した世界初の技術で、全く焼かずに常温で緻密なセラミックス膜がつくれるという画期的な方法です。一口でいうと、AD法は、セラミックス微粒子をガスと混合し高速で基板に吹きつけ、その微粒子の衝突だけでナノ結晶セラミックス膜をつくるという方法です。この技術を利用し、ナノレベル電子セラミックスの応用開発を進めています。

大面積アルファ-アルミナ膜の形成

AD法により大面積のセラミックス膜を作りました。常温で厚い膜を均一につけることができ、その組織はナノ結晶です。しかも、成膜スピードが速く、コストが安いといった大きな特徴があります。この技術を応用すると、情報・通信分野だけでなく、エネルギー利用分野、機械・航空・宇宙分野、医療分野などの用途にも適用が広がります。

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2 どんな研究?

エアロゾルデポジション法(AD法)の概要

AD法は、セラミックス微粒子をガスと混合し高速で基板に吹きつけ、セラミックス粒子の衝突だけで緻密で強固なナノ結晶セラミックス膜を作る方法です。原料粒子は衝突時に10〜30nm程度の微粒子に粉砕され、割れて生じた活性面が粒子間結合をおこすため、焼結せずに緻密なナノ結晶組織ができるのです。それを、常温衝撃固化現象とよんでいます。特徴としては、非常に高速度でセラミックス膜が作れる、そしてナノ結晶で表面が非常に平滑であるといった他に、数種類のセラミックスを混ぜても均一な膜が作れる、あるいは何層にも複数の膜をつけることができるなどの大きな利点があります。

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AD法 装置の概要
セラミックス層形成の例
成膜のメカニズム。AD法:原料が高速で衝突して粉砕され積層するとともに、細かく割れて出来た活性面が強固な粒子間結合をおこす。従来法:炉内で粒子同士が拡散反応でくっつき、結晶が成長する。

電子セラミックスの応用開発

セラミックスは、携帯電話の電子回路やインクジェットプリンタなど身近なところで数多く使われています。これらは、セラミックスの圧電性を利用したもの、誘電特性、高周波特性を利用したもの、あるいは光を通すなど光学的な特性を利用したものなど多岐にわたっています。高温で焼かないAD法は、デバイスの小型化、集積化、高性能化を可能とし、その応用開発を進めています。

圧電セラミックスの応用開発

圧電セラミックスは、電圧をかけると伸び縮みします。また、反対に圧力を加えると電圧が生じます。その機能を利用して、アクチュエータや超音波モータ、各種センサや計測機器など多くの用途に利用されています。

(1)高速光スキャナの開発
光スキャナの部品
光スキャナの走査原理。光スキャナは、センサ・計測・表示機器(ディスプレイなど)等に応用が期待されている。

光スキャナは、圧電セラミックスに電圧をかけることにより伸び縮みさせて、反射ミラーの角度を高速で変えます(高速振動する)。しかし、微細な構造のシリコン部材に圧電セラミックスの厚膜をつけることは、従来法では工程が複雑でコストが高くつき、高性能なものをつくるのが困難でした。AD法では、その問題を解決し安価で高性能の光スキャナをつくることができます。

(2)液晶にかわる光変調器の開発
光変調器

よく知られている液晶は、液晶分子の向きにより光を通したり遮断して、液晶ディスプレイとして利用されていますが、この光変調器は圧電膜と磁気光学層の組み合わせで光を通したり遮断したりします。そして、この変調器は、液晶の約100倍の動作速度を達成できます。AD法により、熱に弱い磁気光学層に圧電セラミックス膜をつけることができ、しかも光を通す透明の膜がつくれたため実現できました。今後、ホログラム映像が見られるような3次元ディスプレイへの応用が期待されています。

電気を蓄えるコンデンサの応用開発

電子回路に用いられているコンデンサ(キャパシタともいう)は、電気を一時的にためたり放出したりする役割があります。主にセラミックスが積層されており、電気容量が大きく、微細化、信頼性が求められています。

コンデンサの応用開発

焼かないAD法では、熱に弱い樹脂基板にも直接回路を組み込めます。AD法で樹脂基板上に多層コンデンサをつくることに成功しました。そして、その性能は世界最高を記録しています。

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3 今後の展開は?

今後、AD法のさらなる高度化により、従来の技術では得られなかった高機能電子セラミックスの応用デバイスの実現をめざして、情報通信機器分野、精密機器等の広範囲な産業分野における国際競争力の強化に大きく貢献していきます。

応用と拡がり

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このテーマの技術解説:
機能性セラミックスって知ってる?
このテーマの事業紹介:
プロジェクトコード P02043