太陽エネルギーの有効利用は、地球温暖化や化石燃料の枯渇などといった問題解決への重要な鍵を握っています。中でもエネルギー変換効率のよい太陽熱利用は、戸建て住宅、学校などの施設に加え、産業分野など幅広い分野での導入が期待されています。
太陽熱利用とは?
地球温暖化、石油など化石燃料の枯渇など、21世紀の人類に立ちはだかる大きな問題を解決するカギとなるのが「太陽エネルギー変換技術」だといえます。地上に降り注ぐ太陽の光を、電力や燃料など人間が使いやすい形に変換しようというもので、最近話題のバイオエタノールなども太陽光で育った植物をエタノールという燃料に変えるもので、広い意味の「太陽エネルギー変換技術」といえます。
そして、人類がもっとも古くから利用してきた太陽エネルギー利用技術のひとつが太陽熱利用です。例えば日本でも、たらいに水をはり、太陽熱で温まった「日向水」を行水などに利用する習慣がありました。戦後は太陽熱を集め給湯や暖房等に使用する太陽集熱器の開発が進み、一般家庭でも積極的に利用されるようになりました。
そして現在、自然エネルギーに対する注目の高まりを背景に、太陽熱利用技術の開発が世界的に進められています。アメリカやオーストラリアなどの砂漠地域では、太陽熱発電のプラントも建設されていますが、日本ではより身近に利用できる太陽集熱器の改良が進んでいます。
再び見直される太陽熱利用
太陽の熱エネルギーを給湯や冷暖房に利用する太陽集熱器は、日本では石油危機後の1980年代には研究開発が盛んに実施され、自然循環型・強制循環型等のソーラーシステムが多く開発されました。しかし、その後の円高、原油価格の安定化等を背景として、年々導入量が減少し、現在では最盛期の約1/2となっています。
今、太陽集熱器が再び注目されている理由は、太陽熱利用機器は太陽光発電等と比較してエネルギー変換効率が高いという点にあります。太陽の光を半導体によって電力に変える太陽光発電では、太陽エネルギーの10%程度しか利用していません。しかし、太陽光を熱に変える方式では40%以上のエネルギー利用が可能なのです。設置費用も比較的安価なため費用対効果の面でも有効な技術です。また、利用用途も給湯や暖房だけでなく、冷房・プール加温・乾燥及び土壌殺菌等への幅広い分野での利用が可能な技術です。

太陽集熱器の種類
一般的な太陽集熱器は、熱エネルギーを水に蓄える水式集熱器と空気に蓄える空気式集熱器に分けることがができます。また、水式集熱器は、自然循環型と強制循環型の2種類に分類することができ、それぞれの特徴は、表のとおりです。なお、アメリカなどで行われている太陽熱発電では、太陽光を反射板等によって集光することで高温集熱し、得られた高温蒸気によりタービンを回転させ発電するパラボラ集熱器(CPC)などが使われています。

代表的なシステム
上記の太陽集熱器で集められた熱エネルギーを利用するシステムとしては、下記のようなシステムがあります。
1)給湯利用
入浴や炊事など、一般的な給湯に利用する場合は、年間を通して50℃〜60℃の温度が求められます。使用温度が比較的低温であることから集熱効率が高く、太陽熱利用に最も適しています。但し、曇天日等で太陽熱を利用できない場合に備えて補助熱源(給湯器等)の設置が必要です。

2)給湯・暖房の併用
暖房利用は、集熱器で集めた熱を居住域へ送るだけで比較的簡単に導入することができ、また給湯とセットにすることで年間を通じて太陽熱を利用することが可能です。暖房利用では、利用する時間帯と集熱時間帯が常に一致しないので、蓄熱装置を設置する必要があります。なお、給湯利用と同様に曇天日等に対応するため補助熱源の設置が必要です。

3)給湯・冷房の併用
集熱器によって集めた太陽熱を吸収式冷凍機などに投入することによって、太陽熱の冷房への利用も可能です。システムは、集熱器・蓄熱槽・補助熱源・吸収式冷凍機等で構成されており、給湯暖房と組み合わせて使用することで夏期の余剰熱を有効に利用して、設備の稼働率を向上させることができます。
但し、吸収式冷凍機を導入することによりシステムが複雑になり、イニシャルコストが増加するので、ランニングコスト低減によるコスト回収等を踏まえた省エネルギー特性を十分検討する必要があります。

導入が考えられる分野
太陽熱利用技術の導入が考えられる分野は表のとおりです。現時点で導入が進んでいるのは戸建住宅ですが、福祉施設、学校、プールなどでの公共分野でも、少しずつ導入されています。しかし、国が太陽熱の導入目標としているのは、2010年度において原油換算90万キロリットルであり、目標達成には産業利用など幅広い導入が期待されます。










